今回は Enterprise Manager Cloud Control 13c Release 4 (13.4) に、Update 17 (13.4.0.17) を適用する。
あくまでも個人的な検証のため、本番環境への適用に適した手順であることを保証するものではない。
必要な作業
ざっくり、以下の作業が必要。
- 最新のOMSPatcherとOPatchの入手と適用
- Oracle Management Service(OMS)用のパッチ入手と適用
- Oracle Management Agent(OMA)用のパッチ入手と適用
言うまでもないが、パッチの入手には有効な保守契約が必要。
基本的な流れは以下のマニュアルを参照。
Oracle Management Serviceとリポジトリへのパッチ適用
Oracle Management Agentへのパッチ適用
最新のOMSPatcherの入手と適用
OMSにパッチを適用する際は、OMSPatcherというユーティリティを使用する。最新のパッチを適用するためにはOMSPatcherのバージョンも新しいものが要求されるため、最新のものにアップデートしておく必要がある。また、OMSPatcherは内部的にOPatchを使っているため、OPatchも同様に最新のものにアップデートが必要。
適用しようとしているパッチのバージョンによって必要なユーティリティのバージョンが異なる場合があり、今回のケースでは以下のドキュメントを参照して適切なパッチをダウンロードする。
EM 13c: Enterprise Manager 13.4 Cloud Control OMSPatcher ユーティリティをバージョン 13.9.4.6.0 にアップグレードする方法 (ドキュメントID 2676205.1)
EM 13c: How to Upgrade OPatch to 13.9.4.2.8 on the Enterprise Manager 13.4 or 13.5 Cloud Control OMS (ドキュメントID 2728285.1)
OMSPatcherのアップデート
既存のOMSPatcherをバックアップする。
export ORACLE_HOME=/u01/software/em/middleware
mv $ORACLE_HOME/OMSPatcher $ORACLE_HOME/OMSPatcher_old
ダウンロードしたパッチファイル(p19999993_134000_Generic.zip)を作業ディレクトリにコピーし、OMSのORACLE_HOME配下に展開する。
unzip -d $ORACLE_HOME p19999993_134000_Generic.zip
OMSPatcherの置き換えはこれで完了。置き換え後のバージョンを確認しておく。
[oracle@em134 work]$ $ORACLE_HOME/OMSPatcher/omspatcher version
OMSPatcher Version: 13.9.4.6.0
OPlan Version: 12.2.0.1.16
OsysModel build: Thu Oct 25 18:18:12 PDT 2018
OMSPatcher succeeded.
OPatchのアップデート
DatabaseのOPatchと異なり、単なるディレクトリの置き換えではなく、javaコマンドを使ったアップデートが必要。
アップデート前にOMSを停止する。
export PATH=$ORACLE_HOME/bin:$PATH
emctl stop oms -all
既存のOPatchをバックアップする。
cp -r $ORACLE_HOME/OPatch $ORACLE_HOME/OPatch_old
作業ディレクトリにダウンロードしたパッチファイル(p28186730_139428_Generic.zip)を展開する。
unzip p28186730_139428_Generic.zip
パッチをインストール。
$ORACLE_HOME/oracle_common/jdk/bin/java -jar /home/oracle/work/6880880/opatch_generic.jar -silent oracle_home=$ORACLE_HOME
OPatchのアップデートはこれで完了。アップデート後のバージョンを確認しておく。
[oracle@em134 work]$ $ORACLE_HOME/OPatch/opatch version
OPatch Version: 13.9.4.2.8
OPatch succeeded.
Oracle Management Service(OMS)のパッチ適用
My Oracle Supportの「パッチと更新版」画面から、「製品またはファミリ(拡張)」を選択し、製品を「Enterprise Manager Base Platform」、リリースを「Enterprise Manager 13.4.0.0.0」で検索すれば、OMS用のパッチが入手できるので、ダウンロードしておく。
また、パッチを適用する前にいったんOMSを起動し、WebLogic管理サーバの情報を確認しておく。
emctl start oms
emctl status oms -details
:
WLS Domain Information
Domain Name : GCDomain
Admin Server Host : em134.dn.home
Admin Server HTTPS Port: 7102
Admin Server is RUNNING
事前にOMSPatcherとOPatchにパスを通しておく。
export PATH=$ORACLE_HOME/OMSPatcher:$PATH
作業ディレクトリにダウンロードしたパッチファイル(p34156805_134000_Generic.zip)を展開し、ディレクトリを移動しておく。
unzip p34156805_134000_Generic.zip
cd 34156805
実際に適用を行う前に、システム要件を満たすことを確認しておく。
途中でWebLogic管理サーバの情報を求められるので、最初に確認しておいた情報を入力する。通常はデフォルトのまま、パスワードだけ入力すればよいはず。
omspatcher apply -analyze
:
Please enter OMS weblogic admin server URL(t3s://em134.dn.home:7102):>
Please enter OMS weblogic admin server username(weblogic):>
Please enter OMS weblogic admin server password:>
:
The following sub-patches are incompatible with components installed in the OMS system:
33759838,33975669,32198861,32198970,33412695,34156720,33759131,31889317,33177968,34136697
何やらWARNINGが出るが、ERRORではないので無視して続行。
再度OMSを停止し、パッチ適用開始。
emctl stop oms
omspatcher apply
システム要件チェックの時と同様に一部WARNINGが出るが、適用自体は完了。
Oracle Management Agent(OMA)のパッチ適用
My Oracle Supportの「パッチと更新版」画面から、「製品またはファミリ(拡張)」を選択し、製品を「Enterprise Manager Base Platform」、リリースを「Enterprise Manager Base Platform – Agent 13.4.0.0.0」で検索すれば、OMA用のパッチが入手できるので、ダウンロードしておく。
Agentへのパッチの適用は、EMの画面上から行えるが、事前にオフラインパッチの設定を行う。
EMの画面から「設定」→ 「プロビジョニングとパッチ適用」→「オフライン・パッチ」の画面を開き、接続欄で「オフライン」を選択しておく。
次に、「Enterprise」→「プロビジョニングとパッチ適用」→「保存されたパッチ」画面を開き、「アップロード」ボタンを押下して「パッチZIPファイル」でダウンロードしておいたOMAのパッチを選択、アップロードする。以下のようにEM上にパッチが登録される。
「Enterprise」→「プロビジョニングとパッチ適用」→「パッチと更新版」画面を開き、「ソフトウェア・ライブラリ・パッチ検索」欄のパッチ番号に、適用したいパッチの番号(今回は34136142)を入れて検索する。
すると、先ほどアップロードしたパッチが表示されるので、これを選択して「計画の作成」ボタンを押下する。「計画名」には適当な名前を設定し、「追加」ボタンを押下すると、ターゲットの選択画面が表示される。
ターゲット・タイプを「エージェント」に変更したら、パッチを適用したいAgentのターゲット名を選択する。この時、複数のエージェントを選択可能。
「計画の作成」を押下する。
再度「Enterprise」→「プロビジョニングとパッチ適用」→「パッチと更新版」画面を開き、「計画」欄に表示されている先ほど作成した計画名のリンクを押下する。
表示された画面を進めていくが、「OPatchのアップグレード」に選択を入れたままだとエラーとなったので、ここでは外しておく。
分析画面でエラーが出なければ、最後に「デプロイ」を押下してパッチをデプロイする。
デプロイが正常に完了すると以下の画面となる。
この画面だけだと、本当にパッチが適用されたのかいまいちよくわからないが、AgentのORACLE_HOMEからOPatchコマンドでパッチを確認すると適用されていることがわかる。
export ORACLE_HOME=/u01/software/em/agent/agent_13.4.0.0.0
export PATH=$ORACLE_HOME/bin:$ORACLE_HOME/OPatch:$PATH
[oracle@em134 ~]$ opatch lspatches
34136142;Oracle Enterprise Manager 13c Release 4 Platform Update 17 (13.4.0.17) for Oracle Management Agent
31840839;
30989011;
29812738;
OPatch succeeded.
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