四半世紀前のノートPCを入手したので、動作させるまで整備した。
FMV-BIBLO NP – AzbyClub サポート : 富士通 (fmworld.net)
1997年3月に発売されたノートPCで、CPUはPentium 133MHz、メモリは48MB、1.3GBのHDDに12インチのSVGA(800×600)液晶を搭載したもの。
自分にとってこのスペックのPCには懐かしいものがある。20年前初めて所有したPCがほぼ同等のスペックのもので、今の自分の人生に大きな影響を与えたものだったから。当時ですら使用にはかなりの忍耐を要する低スペックなものだったが、あの機械がなければいい意味でも悪い意味でも今の自分はなかったはず。そんな思いがあるので、こういう古いものを見かけると欲しくなってしまう。
このPC、本体にはHDDしか搭載されておらず、この時代にしては薄く、軽量(2kg弱)なもの。付属のドッキングステーションにFDDや光学ドライブが付いている。
起動させるまでの作業
入手した時点では、BIOSは起動するもののHDDからOSが起動しない状態だった。ディスクの回転音はするのだが、BIOS上で認識されていない。
この時代のPCは、BIOS上でHDDのCHS(Cylinders, Heads, Sectors)の設定を行う必要があるようで、それ自体はBIOS上で自動検出させることができる。それによってディスクの認識の問題は解決できるのだが、設定を保存できないという問題が起こっていた。
原因はCMOSのバックアップ電池切れ。BIOS設定変更後の再起動で設定が消失し、ディスクから起動できないというループに陥っているようだった。25年前のものなので電池切れは当然想定していたが、たいていの場合単に設定が保持できないだけなので、起動できない状態になっているとは想定外だった。
幸いなことにこのPCは保守性が比較的高いほうで、背面のカバーを1か所外すと電池にアクセスできる。ただ、残念ながら電池はマザーボードにはんだ付けされておりユーザによる交換は想定されていない。
はんだ吸い取り線で接続部分のはんだを吸い取った後、ピンセットで少し引っ張れば電池は外すことができた。使われていたのはBR1225。電池単体は普通に売られているものの、交換にあたって配線をどうするかが課題。今回はネットでノートPC向けにケーブル付きで売られているCR1220を取り付けることにした。若干容量が異なるようだが電圧は同じ3Vだし、遊びに使う程度ならこれでも問題ないだろうという判断。
コネクタ部分を切り取って被覆を剥いてはんだ付け。これが結構難しくて、最初配線とはんだごてとはんだを手で持ってやろうとしたけど全くうまくいかない。テープで位置を固定してやればいいだろうと思いついて、かろうじてくっつけることができた。元あった場所に押し込んで完成。
電源を入れて再度CHSのパラメータを設定してやれば、あっさりHDDからWindowsが起動してきた。入っていたのはWindows95。
特に初期化などはされておらず、前所有者の情報がそのまま残っている状態だった。おそらく前所有者はHDDから起動できなくなったことでディスクそのものが壊れたと思い、何もせず廃棄したのだろう。
ログインパスワードはかかっていたが、この当時はキャンセルボタンを押せばそのままログインできるザル仕様。
ハードディスクが1.3GBしかないので大したアプリケーションも入っていないし、ファイルもそれほど残ってはいなかった。それでも、やはり時代を感じるものばかり。Microsoft Officeは入っておらず、ワープロソフトは一太郎。
表計算ソフトはアンインストール済みのようだったがロータス1-2-3の残骸らしきものが残っていた。
残っているファイルのタイムスタンプを見ると、どうやらこのPCは2008年6月ごろまでは使われていたらしい。
こんなスペックのPCを2008年まで使い続けていたというのは驚き。
SDカードから起動させる
当初HDDが搭載されていないと見込んでいたので、SDカードをIDE 44pinに変換する基盤も用意していた。せっかくなのでこれを使って新規にWindowsをインストールしてみる。使うのはその辺に転がっていた4GBのSDカード。Class6なので書き込み速度は6MB/s程度で決して速いとは言えないものなのだが。
SDカードをしっかり奥まで差し込んでいなかったために全然認識されず小一時間悩んだりもしたが、認識さえされれば問題なく動作し、Windows98のインストールも完了。
とりあえず、CPU-Z Vintage EditionでCPUの情報などをとってみる。先に書いた通り、搭載されているのは133MHzの初代Pentium。当時自分が使っていたのは100MHzのPentiumだったので、これでも3割ほどスペックが高い。
適当にベンチマークもとってみる。CPU-Zに付属しているベンチマークの結果はこんな感じ。
今時のCPUだとこんな感じ。シングルスレッドのベンチマークのようなので、トータルの性能差はさらに大きくなる。
もう一つ、当時のベンチマークといえばこれかなというのも一つ試してみる。
スーパーπ。104万桁で18分24秒(1104秒)。これも今時のCPUだとこんな感じ。
8秒。これもシングルスレッドのベンチマークなので、実際の性能差はさらに大きい。
CPUのほか、HDDの性能についても見てみる。もともと搭載されていたのは、東芝のMK1301MAV。
最近は7mm厚のHDDが主流になっているが、このHDDは9.5mmどころか12.5mmと分厚いもの。それでいて1.3GBしかないので、空き領域が100MB程度なんてこともざらにあった時代。
取り外したものをUSBへの変換基盤を通してつないで、CrystalDiskMarkをとってみた結果が以下。
今時は2.5インチでもシーケンシャルなら100MB/sを超えるのが当たり前なので、こちらも雲泥の差がある。
一通りいじって懐かしい気持ちに浸れたので満足。
コメント