2020年の新型N-ONEを買った

2020年11月19日にフルモデルチェンジした2代目N-ONEを買って、しばらく経つので感想などを書いてみる。

購入の理由

2年くらい前から、維持費や取り回しのしやすさの観点で、軽自動車に買い替えたいと思っていた。最近の軽自動車と言えば、N-BOXのようなスーパーハイトワゴンばかりが売れているようだが、個人的にあまり車高の高い車は好みではない。かといって、ダイハツのミラやスズキのアルトのようなハッチバックは実用性の面でどうか?という疑問があり、そこが悩みの種だった。

また、コンパクトカーとはいえ、普通車のフィットから乗り換えるにあたって、極力格差は小さくしたい。例えば、エンジン出力の面でターボチャージャーは欲しいし、ある程度の静粛性や乗り心地も確保したい。自動ブレーキ等の安全装備も外せないところ。

今までホンダ車に乗っていたこともあって、今回もホンダの軽自動車にしようかと考えていた時、N-ONEにフルモデルチェンジで6MTのグレードが追加されると聞き、これに変えようと決めた。

ジャンルで言うと、軽セミトールワゴンに分類される車で、悪く言えば中途半端な大きさ。だが、自分にとってはそれがちょうどよく思えた。

MTを選んだのは、10年以上前に乗っていたMT車のダイレクト感がいまだに忘れられず、乗り換えるならMT車にしたかったから。別にサーキットを走ろうとか、峠を走り回ろうとか、そういう予定はないし、色々いじって遊ぼうとも思っていない。ただ、通勤や買い物等、日常の中でささやかに運転を楽しめればそれでよいのである。

購入後の感想

まず最初に価格に言及しておく。この車(RSグレード)の車両価格は 1,999,800円。約200万円である。

軽自動車としてはトップクラスに高額で、相応の質感や性能を求めたくなるのが当然だと思う。ちなみに同じホンダの車で200万円というと、e:HEVのフィットなどが該当する。また、より低価格なN-WGN等も比較対象として考えられるだろう。

安全装備は充実している

衝突軽減ブレーキや車線維持支援等のいわゆるHonda SENSINGが全グレードで標準装備なのは良い。このあたりは、価格に見合った装備を付けてくれていると思う。MT車にもかかわらずACCがついているというのも、シビックや先代のフィットのような上位クラスの車に引けを取らない部分。

ただ、MT車では誤発進抑制機能は省かれている。クラッチ操作が誤発進抑制につながるという特性上、不要だと判断されたのかもしれないが、個人的にはあってもいいんじゃないかと思う。半クラ状態だって誤発進する可能性はあるし、その際にアクセル開度を制限してくれればいい話なのでは?と思うのである。一方、MT車でもパーキングセンサーはついているので、障害物への接近は警告してくれる。この点は良い。

ちょっと微妙だと思うのは、オートライト。思っていたより精度は高いが、やはりオートハイビームの挙動は心もとない。目の前に先行車がいるのにハイビームに切り替えたり、日中のちょっとした暗がり(ボックスカルバートの中等)でハイビームに切り替えたりする挙動が見られた。所詮は画像処理による自動制御、あまり信用はできない。

運転性は良い

運転してみて思うのは、とにかく軽自動車とは思えないということ。

たとえが古すぎるかもしれないが、以前乗っていた20年以上前の軽自動車はエンジン音やロードノイズが盛大に入ってきていた記憶がある。

この車はそれが非常に抑えられている。アイドリング時や低回転で巡行している限り、フィットとの違いを感じないレベル。フロントウィンドウに遮音ガラスが使われていたり、随所に遮音材が使われている効果があるのだろう。

次に、エンジンのパワー。2600回転で最大トルクが出るターボエンジンということはわかっていたけれど、まさかこれほどパワフルだとは思わなかった。車重の違いもあるし、MTならではのフィーリングによるものも大きいと思うが、1.3L NAのフィットよりも加速はいいと感じている。

低速トルクが大きいおかげで、速度が落ちてきても3速のまま全然走れるし、4速や5速でもちょっとした坂なら平気で登りきる。街乗りに関して言えば、何の不満も出ないだろう。

そして、何よりMTであるということ。それがこんなに楽しくて気持ちいいとは。もう運転していて自然に笑顔になる。12年間、ずっと取り戻したいと思っていたこの感覚を、ようやく取り戻せたのは本当にうれしい。

クロスミッションと聞いてあんまりイメージがついていなかったのだけれど、小気味よくシフトアップしていけるし、不満は全然ない。

シフトフィールは、3速に入るときにゴリゴリする感じがあるのがちょっと気になる点。シンクロがうまくかみ合っていないところに、無理に押し込むような感覚が伝わってくることが多い。ディーラーの点検では正常な範疇と言われているので、そんなもんだと言えばそこまでかもしれない。

それから、賛否両論がありそうなシフトの位置について。N360にインスパイアされたインパネシフト、というのはただの方便で、CVT車とシフト周りの内装を共通化したかったということと、同じくインパネシフトのN-VANの設計の流用ができるというだけだろう。正直に言えば、確かにフロアシフトの方がいいと思うが、思っていたより違和感はなく、私はすぐに慣れた。

テレスコピックがないことでシートポジションが取りずらいという話をよく聞くが、個人的にはそこまで気にならなかった。テレスコがついている車に乗ったことがないから、体の方を車に合わせる癖がついているためかもしれない。

ハンドリングやボディ剛性に関しては、素人の私には的確な判断はできないが、運転していて不安を感じるような場面はない、とだけ言っておく。

燃費はまずまず

割とラフに運転していて、通勤メインでストップアンドゴーが多い、冬場なので暖気に時間を取られたりする、おまけにタイヤはスタッドレスという環境で、平均燃費は19.5km/lくらい。カタログ燃費の21.6km/lから大きな乖離はないのは優秀だと思う。

内装や質感について

結論から言うと、この車の内装や質感に200万の価値は無いと感じる。

160万のOriginalでこの質感ならまだ理解できなくはないというレベルだが、Premium以上でこれは正直残念。例えば以下のような部分。

コストカットの塊になった後席

後席ドアの内張りは全てプラ素材。前席はアームレスト部分が申し訳程度にファブリック素材になっていたが、後席はそれすらも省かれている。ドアを開けた瞬間に漂うチープ感はまるで商用車である。

そして、単色・単一素材でまるで飾り気のないシート。乗り心地はそれほど悪くはないが、最上位モデルでこの見た目はひどいと思う。

取ってつけたようなセンターコンソール部分の装備

ベンチシートを廃止したのは良いが、助手席と運転席の間にできた空間をどう使うかまで気が回らなかったのだろうか。

ドリンクホルダーは使い勝手のいいところにあると思う。問題はその後ろにある謎の空間。現行フィットのように、トレイタイプの小物入れでも設置してくれればいいのに、そのまま床が見えているだけ。

骨組みむき出しのフロントトーナメントワイパー

他のNシリーズではエアロワイパーが使われているし、ダイハツ等他メーカーの軽でもエアロワイパーとなっている車種が増えてきている。見た目で選ぶ人も多いN-ONEで、パッと目に入るワイパーがこれだと、とたんに貧相に見えてくる。

運転席アームレストがオプション

運転のしやすさを掲げているのにも関わらずここを省略する意図は何なんだろうか。ちなみに、先代のN-ONEやN-WGN、商用車のN-VANですら運転席アームレストは標準装備である。

その他細かいところ…

CVT車にはついているタイヤ角度モニターがMT車にはついていない。これは個人的に残念に思った部分。その機能の要否はCVTとMTで違いがあるんだろうか。なぜMTで省いたのかちょっと理解ができない。マルチインフォメーションディスプレイのROMの容量の問題とかだとしたら、何とかならなかったのかと思ってしまう。代わりについているGメーターとか、別になくても困らないですよ?

テレスコピックが装備されてない点を批判する声が聞こえるが、個人的にはそれほど気になっていない。が、価格の安いN-WGNについているのになぜN-ONEにつけられなかったのかと思われるのは当然だと思う。

MT車ではフットレストが省略されている。CVT車にはついているし、クラッチべダルと干渉しない程度のスペースはあると思うのだが、なぜ省略したのかよくわからない。慣れれば気にならなくなってくるが、初めのうちは足の置き場に困った。

N-ONEは数が出ないので価格を落とせない、と言われるかもしれないが、軽で一番売れているN-BOXと同じプラットフォームだし、ボディ外板やガラス面は先代と同じだから生産ラインも流用できるだろう。

Honda SENSINGなどのソフトウェアも他のNシリーズのものをフォークして多少修正するだけでよいのだから、大きく追加コストがかかるとも思えない(MT車への対応はシビックなどのコードが使えるだろう)。

トランスミッション周りも、すでにN-VANで6MTの実績がある。

これで質感がN-WGNやN-BOXと同等の質感であれば、数が出ない分での価格差として納得できるかもしれないが、そうでない以上、ホンダの政治的な戦略によって意図的に価格が釣り上げられているようにしか思えないのである。

よほどホンダというメーカーが好きか、N-ONEのエクステリアが好きか、軽のFF・6MT・ターボという組み合わせを手に入れたいという人でなければ、この質感の低さは納得できないと思う。

エンジンや安全装備、ボディの作り等、メカニカルな部分が良くできている分、内装の出来の悪さが際立っているというのが、正直な感想。

個人的に、以下は不要なのでそのの費用を上記の装備に充ててはどうかと考える。

  • 足元やドリンクホルダーのイルミネーションランプ
    こんなものは、ディーラーオプションで十分だろう。
  • 後席のシートベルトリマインダーや、置忘れリマインダー
    あれだけ後席の質感を落として割り切っているのなら、この手の装備も不要ではないか。後席の扱いをどう考えているのか、実に疑問。まぁ、荷室として考えた時に置き忘れリマインダーは有用かもしれないが。

結論

色々気になる点も挙げたが、総合的には満足している。運転していて楽しいから。その一点に尽きる。でも、万人に勧められる車ではないのもまた事実。

特に理由がないのなら、マイナーチェンジで諸々の改善がみられるまで待った方がいいと思う。

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